瀬戸内国際芸術祭2013 - Setouchi International Art Festival 2013 - を知る(記事08)


▽瀬戸内国際芸術祭2013 - Setouchi International Art Festival 2013 -

大竹伸朗さんの個展が開催中だという2013年08月01日の讀賣新聞の記事

 直島に隣接する8島(直島、犬島、豊島、大島、小豆島、男木島、女木島、伊吹島)を中心とした瀬戸内国際芸術祭2013と大竹伸朗さんの個展が開催中だという2013年08月01日の讀賣新聞の記事です。
 瀬戸内国際芸術祭の会期中に合わせて近隣の美術館や施設でも、こういった企画展をすることで芸術祭の裾野が広がっていくのも面白い考え方ですね。
 全部の作品を一度に見て回るのが困難だし、どの作家の作品が自分に合うかわからない。そんな幅広い今回の芸術祭の場合には、こういったスピンオフ的な個展は楽しみ方を増やしてくれますよ。知らなかった世界観や見方を発見するいい機会。お祭り気分で楽しむっきゃないでしょ!!
 これでまた世界中から大勢の人が直島近辺に集まってきて賑やかになるんだろうなぁ。地元の人や土地に対する最低限のマナーやルールを守ってアートに接していきましょう。では、この記事の中身を紹介しましょう。


『大竹伸朗さんは美術館でも個展』

 瀬戸内国際芸術祭に出品している大竹伸朗さんは、香川県内の二つの美術館でも個展を開いている。
 高松市美術館での回顧展「憶速」(9月1日まで)と、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の新作展「ニューニュー」(11月4日まで)。作品数は計約700点。7年前には東京都現代美術館で2000点以上を披露する「全景」展を開催したが、それですら創作の一部に過ぎないという。自らを取り巻く世界から受けた刺激を記憶として残す作業こそが、この人の作品だからだ。
 回顧展のタイトル「憶速」とはそうした「記憶の速度」、換言すればその感性がいかに対象に反応し、とらえたかを意味する造語だ。
 1977年以降のスケッチブック96冊には家族や動物、風景などが素早いタッチで描写されている。「貼」と題したセクションには印刷物や布の切れ端、スナップ写真など気になったモチーフを次々に貼り合わせたこの人らしい作品が並ぶ。ハワイを撮った森山大道さんから譲り受けたプリントと、自らがハワイで集めた印刷物を重ねた「ハワイU」のように、他人の“記憶”にまで視線を向け、取り込んでしまう貪欲さが印象的だ。
 新作展では、そのエネルギーがさらに増した。例えば例年、ドイツ・カッセルでの国際美術展「ドクメンタ」に出品した「モンシェリー:自画像としてのスクラップ小屋」。分厚いスクラップブックを置いた小屋とキャンピングカーからなり、展示室にあわせて新たに設置した。ネオン管に荷札、ポスターや看板、鏡・・・。おびただしいモノで内も外も飾りつけた小屋自体が、美術家の記憶を集積したスクラップブックのようでもある。
 両展から伝わってくるのは、誰もが見過ごしていても、心を揺り動かされる人がいるならば、それは美となりうるということだ。固定観念に縛られない伸びやかな姿勢で、美をすくいあげ、記憶を刻み続けていく。

○○右の写真○○
 高松市美術館に出品されている「ハワイU」(2008年)