▽柳幸典 - Yanagi Yukinori -
柳幸典さんの作風は国旗や紙幣、軍艦やスーパーヒーローといった、ある社会で消費されてきたシンボル的な記号を材料として抽出して作品にすることで、既存の枠組みや社会的な境界を曖昧にして、観る人の根底を揺さぶるというもの。つまり、ある問題を提起したり提示したりする芸術ではなく、それを観た人それぞれが考え、それぞれの答えを見つけるための始まりだということかな。
例えば、犬島にある精錬所での『ヒーロー乾電池』という作品は5つの展示スペースを1つの作品として日本の近代化の矛盾を象徴する三島由紀夫の「松濤の家」の廃材だったり、犬島石や犬島スラグ、犬島カラミ煉瓦くず、水、鏡、フロストガラス、鉄フレーム、金メッキ鉄、映像、音響といったそれぞれが独自の意味を持つものをあちらこちらに展開していて、それを全て観てまわったそれぞれの人の中に何かが始まるというものだと思います。
▼柳幸典 - Yanagi Yukinori -の直島関連作品▼
柳幸典 - Yanagi Yukinori -の直島関連作品 | ||
作品名 | 完成年 | 展示地域 |
『ザ・ワールド・フラッグ・アント・ファーム1990』 | 1990 | 直島(ベネッセハウスミュージアム) |
『バンザイ・コーナー』 | 1991 | 直島(ベネッセハウスミュージアム) |
『ワン・ダラー』 | 1999 | 直島(ベネッセハウスミュージアム) |
『ヒーロー乾電池』 | 2008 | 犬島(精錬所) |
『山の神と電飾ヒノマルと両翼の鏡の坪庭』 | 2010 | 犬島(家プロジェクト)F邸 |
『蜘蛛の網の庭』 | 2010 | 犬島(家プロジェクト)S邸 |
『眼のある花畑』 | 2010 | 犬島(家プロジェクト)I邸 |
▼柳幸典 - Yanagi Yukinori -のBiography▼
柳幸典 - Yanagi Yukinori -のBiography | |
西暦 | 経歴 |
1959 | 福岡県に生まれる。 |
1985 | 武蔵野美術大学大学院造形研究科を卒業する。 |
- | 大学院の卒業制作は油画科にも関らずインスタレーションであったため認められず、東京都美術館での卒業制作展には不参加。 |
1990 | イエール大学スクール・オブ・アート・アンド・アーキテクチャー大学院彫刻科に奨学金を得て渡米、ビト・アコンチ、フランク・ゲーリー等に師事する。 |
- | 卒業後、ロサンジェルスのLACE(ロサンゼルス・コンテンポラリー・エキシビジョンズ)、ニューヨークのストアフロント・フォー・アート・アンド・アーキテクチャーにて展示。 |
- | ニューヨークのギャラリーでの『Hi-no-maru 1/36』、そしてヒルサイドギャラリーでタミヤのプラモデルの戦車を使った『セルフディフェンス』を発表、日の丸シリーズの始まりとなる。 |
1992 | Asian Cultural Councilの助成を得てPS1スタジオプログラムに参加する。 |
1993 | 第45回ベニス・ビエンナーレのアペルト部門にて『ザ・ワールドフラッグ・アント・ファーム』が受賞する。 |
1995 | 瀬戸内海の犬島にある銅の精錬所廃墟を一目見た際、ライフワークとしての犬島アートプロジェクトを思い立つ。 |
愛知県の名古屋市美術館で開催された名古屋国際ビエンナーレに参加する。 | |
第6回五島記念文化財団美術新人賞を受賞する。 | |
1996 | サンフランシスコ湾に浮かぶ元連邦刑務所アルカトラズ島でのアートプロジェクトを実現する。 |
1997 | 「ビエンナーレ・ド・リヨン」に参加する。(リヨン、フランス) |
2000 | 「光州ビエンナーレ2000」に参加する。(光州、韓国) |
ホイットニー・バイアニュアルに選出され、ジャスパー・ジョーンズの『Three Flags』をモチーフとした『スタディー・フォー・アメリカンアート』を発表する。 | |
2005 | 日本に帰国後、広島市立大学芸術学部准教授になる。 |
広島市内にある遊休施設のアートによる有効利用として広島アートプロジェクトを立ち上げる。 | |
2008 | 犬島アートプロジェクト第1期「精錬所」に『ヒーロー乾電池』を制作する。 |
2010 | 瀬戸内国際芸術祭に合わせ、犬島『家プロジェクト』で建築家・妹島和世設計の犬島集落の三カ所にて作品が展示される。 |
▼柳幸典 - Yanagi Yukinori -の主な作品▼
柳幸典 - Yanagi Yukinori -の主な作品 | |||
西暦 | 作品名 | 素材 | 収蔵先 |
1990 | 『ザ・ワールド・フラッグ・アント・ファーム1990』 | 蟻、着色した砂、プラスティックボックス、プラスティックチューブ、プラスティックパイプ、LCDモニターによるドキュメンテーション映像 | ベネッセアートサイト直島 |
1991 | 『バンザイ・コーナー』 | - | ベネッセアートサイト直島 |
1992 | 『ヒノマル・イルミネーション』 | ネオン管、ネオン変圧器、プログラミング回路、着色したスチール | 高知県立美術館 |
1992 | 『ヒノマル・コンテナー(ヤマト Tumulus TypeT)』 | 東京都現代美術館 | |
1994 | 『クリサンスマム・カーペット』 | ウール・カーペット、真鍮 | オーストラリア国立美術館 |
1995 | 『ザ・フォービドゥン・ボックス』 | フィラデルフィア美術館 | |
1996 | 『パシフィック - ザ・アント・ファーム・プロジェクト』 | テート・ギャラリー | |
2000 | 『ダラー・ピラミッド』 | 蟻、着色した砂、プラスティック・ボックス、プラスティック・パイプ | ヴァージニア美術館 |
2008 | 『ヒーロー乾電池』 | 三島由紀夫「松濤の家」の廃材、犬島石、犬島スラグ、犬島カラミ煉瓦くず、水、鏡、フロストガラス、鉄フレーム、金メッキ鉄、映像、音響 | ベネッセアートサイト直島 |
2010 | 『山の神と電飾ヒノマルと両翼の鏡の坪庭』 | - | ベネッセアートサイト直島 |
2010 | 『蜘蛛の網の庭』 | - | ベネッセアートサイト直島 |
2010 | 『眼のある花畑』 | - | ベネッセアートサイト直島 |